都市にひそむミエナイモノ展

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藤倉麻子

現代都市の「楽園」は、
どこにひそんでいるのだろう

あの山の裏/Tire Tracker

藤倉麻子
藤倉麻子
藤倉麻子
藤倉麻子

作品紹介

いつも目にする景色の「裏側」を想像したことはありますか?

かつて共同体のなかでは、その地にそびえたつ「山の裏」に楽園や死後の世界があるとも考えられてきました。

それは物理的な場所と捉えられることもあれば、人々のイメージのなかにだけ存在する世界であったりもします。

都市郊外で生まれ育った藤倉麻子は、現代の都市がつくりだす風土のなかにも、無意識のうちに「山の裏」を想起してしまう、ささやかな信仰が生まれていると言います。

巨大なインフラ構造のすきまからのぞく遠浅のビーチの看板。

そんなかすかな景色の残像が、人々に現代の楽園を想起させるのだと。

さらに藤倉は日々移動を続ける車のタイヤに着目し、その存在を「ある目的の達成に向かう媒介とみなされたもの」であると同時に「それ自身も達成に向かうもの」と定義します。

しかしタイヤはときに、家や畑の片隅に放置されたりもします。

藤倉はそうした車体から外れたタイヤたちを「達成の途上」と表し、全国のタイヤ情報を集めています。

あなたの生活圏のなかにも、「山の裏」や「途上のタイヤ」がどこかに潜んでいるかもしれません。

プロフィール

藤倉麻子

藤倉麻子

1992年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。都市・郊外のインフラストラクチャーや物流に注目し、3DCGアニメーションの手法を用いた映像作品を制作。令和4年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業採択。